オタク日誌S

日々のオタク活動を綴ります。BABYMETALと乃木坂46の話題が中心です。

2015.07.05 映画『アイズ』舞台挨拶つき上映会 レポ・感想 

 本日は、映画アイズを観賞するために秋葉原に行ってまいりました。アイズはレビューサイトなどでの評価も高く、どうせ観るのならやはり舞台挨拶つきのものがいいということで、アキバシアターにて16時30分からの回を観賞しました。

 

 ちなみにこのアキバシアター(http://www.fsi.co.jp/akibaplaza/cont/theater/index.html)は最高品質の設備を備えた劇場で、関係者向けの試写会などによく使用されるそうです。私も実際に見て、音の良さだけでなく椅子の座り心地の良さにも驚きました。小さめなので落ち着いて観賞できるのでオススメです。

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【舞台挨拶】

 まずは、上映前に行われた舞台挨拶のレポと感想です。登壇者は伊藤万理華の他に、おぞねせいこさん、小林愛奈ちゃん、中川慶二くん、西洋亮さん、遠藤耕介さん、上川雄介さんでした。

 まりっかは白とダークグレーのブロックのワンピース、シースルーの靴下に白のパンプスを履いていました。髪はおろしていて、とてもかわいらしかったです。入場してきたときは思わず笑みがこぼれてしまいました。完全に気持ち悪いオタクです。

 

 舞台挨拶はやはり主演であるまりっかの話題が中心で、「撮影中のエピソード(裏話など)」「伊藤万理華の印象」「映画の見てほしいところ」「最後にひとこと」というテーマでトークは進められました。

 

 印象に残っている発言をいくつか紹介します。万理華の印象や、現場でのエピソードなどについての発言です。

 

西さん「撮影では知り合いが少なかったためにチームに打ち解けられるか不安だったが、伊藤さんと共通の趣味の話題で盛り上がることができて助かった。好きなバンドなどの音楽の話や映画の話、カメラの話をした。」

 

遠藤さん「伊藤さんの魅力は、集中力。演技をしているときの集中力に驚かされた。」

 

上川さん「(まりっかと)2人で屋外での撮影シーンが多かったが、合間に伊藤さんが苔を探していたので、伊藤さんは変わった子なのかなというのが最初の印象だった。」

 

(上記の上川さんの発言を受けて)万理華「たしかに、撮影中は気が付けば苔を探していたかもしれない。植物に癒されていました。」

 

おぞねさん「万理華ちゃんはとってもかわいらしくてのほほんとしているという印象を最初は持ったが、いざ演技をすると、この子は本当にさっきと同じ子なのかなと思うほど役に入り込んでいて感心した。」

 

万理華「映画としては(見どころはどこか、など)特になにも考えないで見てほしいが、見終わった後には色々と感じることがあるはず。周りの演者のみなさんのレベルが高かったので自分も追いつこうと、一段登ろうと、頑張ることができた。自分の新しい一面に気づくことができた。目の動きや表情でも怖さを演出できるように工夫したので、そういう細かい部分も見てほしい。」

 

 

 舞台挨拶では、女優伊藤万理華を称える発言が多く、集中力や役への入り込み具合などが特に評価されていました。

 

【映画本編レビュー・感想】

 とにもかくにも、伊藤万理華の演技力に脱帽です。『ナイフ』などの個人PVでもその実力の一端は見えましたが、今回『アイズ』で改めて女優伊藤万理華は素晴らしい演技を披露してくれました。レビューサイトの高評価はオタクバイアスがかかっているだろうと厳しい見方をしていたのですが、いい意味で期待を裏切られ、予想を上回ってくれました。

 

 アイドルとホラー映画の組み合わせというのは昔からよくあります。乃木坂46でも、中田が『デスブログ』、能條が『死の実況中継』の主演を務めました。生駒ちゃんも今度『コープスパーティ』を主演しますね。しかし、ほとんどの場合、作品のストーリーが良くない、出演者の演技のレベルが低いなどの理由から、オタクであっても見ていられないです。怖がらせるために、無意味に血をやたらと出したり、唐突に大きい音を入れるなどの安直な演出を多用する低クオリティの作品のいかに多いことか。また、多くのアイドルや共演の若手俳優の演技は、いかにも演技をしていますというような仰々しいわざとらしさの溢れる演技ばかりで、ただただ大きな声で泣き喚いたり、日常のシーンではセリフを棒読みしているだけです。それゆえ、アイドルが演技をする、となるとどうせ大根芝居だろというようなマイナスイメージが先行しがちです。

 

 しかし、『アイズ』と伊藤万理華はそれらとは格が違いました。『リング』などの鈴木浩司原作ということもあって、血で驚かせるというような演出ではなく、しっかりストーリーでもって恐怖を煽ってきます。見せ方もうまく、展開の予想がつきにくいことも、この映画をチープでありきたりなホラー作品とは異なるものにしていました。伊藤万理華に関しては、正直、「乃木坂46のアイドル伊藤万理華」というレッテルが貼られているのが逆にかわいそうだとさえ感じました。なぜなら、前述したようにアイドルというレッテルには多くの場合、こと演技に関してはマイナスイメージが付随しますから。伊藤万理華はアイドルが「演じてみた」というような安いものではなく、きちんと女優として成立していました。舞台挨拶で共演者も語っていましたが、『アイズ』の伊藤万理華はアイドルであることを微塵も感じさせません。

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 日常の会話シーン、たとえば家族との会話や学校での友達との会話など、特に感情の起伏の激しくないシーンというのは、生活感の剥離したわざとらしい大げさな演技か、棒読みの2パターンに陥りがちです。その点まりっかは実に自然でした。弟の面倒を見てあげるシーン、父親と雑談をするシーン、母親と口論するシーン。すべてが、実際の家族の生活を覗き見ているかのようでした。山本由佳里になりきる、役に入り込むということが、こういう日常のシーンからわかりました。山本由佳里として生きているからこそ、反応がリアルなんです。だからこそ自然な演技でありながら、決して棒読みではないのです。

 そして役になりきっているからこそ、ホラーのシーン、感情を爆発させるようなシーンの出来も素晴らしい。『アイズ』には泣くシーンがたくさん出てきます。同じ泣く、でもいろいろな種類があります。声をあげたり、恐怖のために叫んだり、逆に声も出せないで涙をこぼしたり。いきなり爆発するように泣くこともあれば、徐々に気持ちが高ぶって泣き出したり。話の流れの中で求められる泣きの演技は千差万別です。しかし、伊藤万理華は見事に「泣いて」いました。あの引き出しの多さには素直に感動しました。

 

 

 以下、もう少し細かく、ネタバレを含みつつ、私が特に素晴らしいと思ったまりっかの泣きの演技を、3つのシーンだけ厳選して紹介します。

 

 まずは、友人を含めた死亡事故を起こしたバスに、自分も乗っていたかもしれない(なおかつそのバスに友人が乗ったのは自分のせいかもしれない)という事実を受け、父親に泣きすがるシーン。父親を見て思わず感情がこらえきれなくなったという感じがごく自然でした。

 

 次に、母親が自殺を図って飛び降りたのを目の前で目撃し、さらに落下した母親を見て泣き喚くというシーン。事態がうまく飲み込めないところから、徐々に母親が死んでしまったかもしれないということがわかりはじめ、唐突な悲劇に感情が爆発して叫ぶという演技は見事でした。

 

 最後は、弟は自分が見ていた幻であり、実在していなかったことを悟るというストーリー的にも非常に重要なシーン。ここはとりわけ素晴らしかった。いままでの全てが否定されるという衝撃的なシーンなのですが、最初は理解できず「そんなはずはない」と否定していたのが、ゆっくりと理解し受け入れ始め、ただただ溢れる涙が止められなくなるという、感情の静かでありながらも激しい動きが、時間をかけて丁寧に描かれています。万理華の演技がそれ自体の力で、作品の核心をつき、見事なクライマックスとして仕上げているのです。この泣きの演技には脱帽しました。

 

 映画『アイズ』、まりっかの演技はぜひ見てほしいです。オススメします。伊藤万理華はすごい才能の持ち主かもしれません。今後の女優としての活躍に胸が膨らみます。

 

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